金沢大学公式海外派遣プログラム「フランス ユネスコエコパーク文化交流プログラム」実施報告

実施期間:2024年2月17日(土)~29日(木) 13日間

参加人数:9名

訪問地域:フランス(トゥールーズ第3大学ポール・サバティエ、ドルドーニュ盆地ユネスコエコパーク、ユネスコ本部)

研修主旨、概要:フランスの自然・文化・歴史、ユネスコについて、体験や現地の人との交流から学ぶ。

  • ユネスコ本部を訪問し、MABオフィス職員等と交流する。
  • 大学を訪問し学生交流を行う。
  • ユネスコエコパーク(生物圏保存地域)を訪問し、生物保護や環境保護の取組について学ぶ。
  • フランスの歴史・社会・文化に触れる。

参加学生レポート:「宝物の2週間~フランス ユネスコエコパーク文化交流プログラムに参加して学んだこと~」                                     医薬保健学域保健学類2年(2023年度) 河井響子

 今回の研修は自分にとって初めての海外留学であり、緊張もあったがそれ以上に、初めての土地で異なる文化を持つ人々と関わることで、自分がどう感じ、考えるのか、自分自身をもっと知りたいという気持ちが強かった。そしていざ参加してみて、2週間という短い期間で毎日が刺激の連続であり、知識はもちろん、価値観についても学ぶことばかりであった。すべての活動に思い入れがあるが、ここでは特に印象深かったことについてまとめる。

・フィッシュエレベーター

 生態系の保護として特にインパクトが大きかったのが、フィッシュエレベーターである。自分の地元にも、川の堰で魚道(魚が通ることのできる水路)を作り、魚の上流・下流への移動を妨げないための取り組みがある。しかし「フィッシュエレベーター」として、精密な機械を作り、大きな費用と手間をかけて生態系の保護に力を入れていることを肌で感じ、フランスという国全体の生物保護に対する意識の高さ、危機感の強さを痛感した。

・ワイナリー

 訪問したワイン農場では、石灰の土などのその土地が元来持っている性質を生かしていたり、昔大きなトラクターを使っていた時代に作られた広い通路を残していたりするなどの特徴があるとお聞きした。そのような、その地域の特質や文化を理解すること、そして歴史的価値を大事にし、受け継いでいくこと。そのうえで現在の人々が持つ受容を理解し応えていくことといったように、視野を広げた様々な部分での繋がりがあることを実感した。さらには good farm を作るためには生物多様性も必要不可欠であることなど、ワイン一つの生成において色々なことに目を配り、柔軟な考え方があってこそ長い歴史を持ったワイナリーがあるのだと学ぶことができた。

・パリ  ユネスコ本部訪問

 私自身疑問に思っていたのが、「ユネスコは、世界平和やすべての人への教育などといった大きな目標を掲げる一方、世界をターゲットに活動するからこそ、日々の情勢の変化もある中で現実との間のギャップに途方にくれてしまうのではないか。どのようにしてその目標達成に近づけているのか。」というのがあった。それについて、「とにかく職員同士のコミュニケーションが大切。それぞれが情報を共有し、考えを伝えあう事で、より良い方向に持っていく努力をする。」と教えて頂いた。国境を越えて、職業を問わず、改めてコミュニケーションの大切さを実感した瞬間だった。

 また、今まで漠然と憧れを抱いていた国際機関という場が、実際に国際会議を行う場所を見たり、職員の方々に直接お話を聞いたりしたことで、もう少し具体的に、国際機関で働くということについてイメージを持つことができるようになった。

・学び続ける姿勢

 研修先各地で感じたのは、大人の学ぶ意欲の高さである。ガイドさんの説明を聞き、疑問に思ったことはためらわず質問をする。そしてそれが当たり前の環境であるということ。日本にいると、特に大人はそういった場で自ら手を上げて質問をする人が少ない。しかし、その環境に触発されて、私自身も前のめりな姿勢で研修に臨むことができ、いつも以上にとても充実した時間を過ごすことができた。いつまでも学び続ける姿勢の重要さを感じ、周りの環境にとらわれず自ら学ぶ態度を大切にしていきたいと思った。

・感謝

 今回の研修は特に、人柄、生き方について学び、振り返ることが多かったように感じる。出会ったトゥールーズ第3大学の方々、MAB フランスの方々、そして研修先各地のガイドの方々、出会った方々皆が本当に温かく、人情に溢れた人ばかりだった。賢明であり、何か質問をすると倍以上の返答をくれた。また、自分ではない他の誰かのためにこんなにも一生懸命になって尽力を注いてくれる人たちの姿を見て感激した。そして与えてもらった分、自分自身も与えられる人間、誰かのために必死になれる人間、さらには賢く、いつも楽しく生きることで、周りの人も明るい気持ちにできる人間になりたいと思った。

 たくさんの学びと思い出をくれた現地の方々には感謝してもしきれない。本当にありがとうございました。

ダム訪問
ユネスコ本部訪問
タイトルとURLをコピーしました